Report▲Kiyoyuki Watanabe & Yuzi Okumura
Pix▲Yuzi Okumura
’19年の“Metal Female Voices Fest in Japan”出演以来、ちょうど7年振り──ドイツを拠点とするシンフォニックでフォーキーでゴシカルな多国籍バンド、LEAVES’ EYESが再来日を果たした! しかも、ATROCITYと共に…!!

いや…この2バンドはほぼ同じメンバーで構成され、海外では基本両者揃い踏みでツアーに出るのが恒例で、言わば表裏一体とも言える関係。というか──そもそもLEAVES’ EYESは、アレックスことアレクサンダー・クルル率いるATROCITYをベースに派生したバンドであり、’03年の結成からずっとこの2バンドは、(たまに例外もあるが)言わばメンバーの共有を続けてきたのだ。よってATROCITYとしては、「遂に…!」との思いでの初来日となったことだろう。
ちなみに、今回の来日メンバーは以下の通り。
[ ATROCITY ]
●アレクサンダー・クルル<Vo>
●ルク・ゲプハート<G>
●フローリアン・エヴァート<G>
●シモン・シュクルレッツ<Ds>
[ LEAVES’ EYES ]
●エリナ・シーララ<Vo>
●アレクサンダー・クルル<Vo>
●ルク・ゲプハート<G>
●フローリアン・エヴァート<G>
●ドミニク・プリキエウ<B>
●シモン・シュクルレッツ<Ds>
ATROCITYはここのところ、ベースレスのまま活動しており、HATEのメンバーでもあるドミニク(ドミン)はLEAVES’ EYESのみの参加。(てか、彼はHATEで来日経験アリ…?) ということで、ATROCITYの4人は1日2ステージをコナすこととなったが、それもまぁ「いつものこと」なのだろう。ただ、ATROCITYではフェイス・ペイントを施して邪悪なムードを演出し、それなりに“別モノ”とのスタンスをとってもいたので、もしかしたら同じメンバーだと気付いていなかった観客もいた…かも?
■ ATROCITY

LEAVES’ EYESのアレクサンダー・クルルは、古くからのデス・メタル・ファンにとっては“アレックス・クルル”という呼び名の方がしっくりくるだろう。’90年代初頭にジャーマン・デス・メタル・シーンを切り拓いたATROCITYの初期2作(’90年『HALLUCINATIONS』&’92年『TODESSEHNSUCHT』)において、彼はこの名でクレジットされており、それらのアルバムは、今なおシーンで畏敬の念を集め続けているからだ。’90年代中期以降、インダストリアルやフォーク、ポップスといった雑多なジャンルを貪欲に取り込み、一時は迷走のきらいもあったATROCITYだが、近年は再びデス・メタルへの回帰を図っている。
今回のライヴは、近年の『OKKULT』3部作(’13~23年)収録曲を中心に構成されていた。アレックスお得意のシンフォニックなアレンジが施された楽曲は、1曲目の「Desecration Of God」(’23年『OKKULT III』収録)と、ラストに披露された中興の名曲「Reich Of Phenomena」(’04年『ATLANTIS』収録)のみ。全10曲のうち、殆どがオールドスクール・デス・メタル寄りの楽曲で占められていた。

中でもハイライトは、「お前達をデス・メタルの黄金時代に連れ戻そう」というアレックスのMCから始まった、初期作品からの2曲「Fatal Step」(『HALLUCINATIONS』収録)と「Necropolis」(『TODESSEHNSUCHT』収録)であろう。初期の彼等はテクニカル・デスと評されることが多いが、昨今の技巧派バンドのように派手な演奏で魅せるというよりは、展開の妙味で聴かせるタイプの楽曲が多い。この日披露されたその2曲も、リフの粘着度こそ高いものの、展開自体は比較的ストレートな部類に入り、ブルータルかつダークな近年の楽曲ともうまく調和し、セットリストに溶け込んでいた。

アレックスのバックを務める楽器陣は、ベースを除くLEAVES’ EYESのメンバーで固められたベースレスの編成。全員が手堅い演奏を披露し、デス・メタル・バンドとしての矜持を感じさせてくれた。




アレックスは終始饒舌で、MCの度にジョークを飛ばし、積極的に観客とのコミュニケーションを図っていた。残念ながら、ジョークの内容はやや伝わりづらく、フロアの反応が芳しくない場面もあったが、「俺達は国や宗教こそ違えど、ひとつのメタル・ファミリーだ!」と力強く訴えかけた瞬間には、会場から大きな歓声が沸き起こった。



約40年にわたり、ミュージシャン、そしてプロデューサーとして第一線で活躍する人物だけに、厳格で偉大な人物像を勝手に想像していたが、本人は極めて気さくな性格のようだ。’19年以来の共演となる、今回オープニングを務めたANCIENT MYTHのメンバーの顔もしっかり憶えていたというエピソードからも、各国のメタル・ファミリーに対する彼の熱い連帯感と人間味が伝わってくる。

混迷の時代を乗り越え、再び純然たるデス・メタル・バンドとしてのATROCITYを印象付けると同時に、熱く気さくな彼の人間性にも魅了される、50分強のショウであった。 (渡辺清之)

[SET LIST:06/04/26@初台DOORS]
1.SE~Desecration Of God 2.Death By Metal 3.Fatal Step 4.Necropolis 5.Fire Ignites 6.Spell Of Blood
7.Faces From Beyond 8.Bleeding For Blasphemy 9.Shadowtaker 10.Reich Of Phenomena 11.Outro:Excerpt from Riders Of Doom@Conan The Barbarian OST(SE)
■ LEAVES’ EYES

25分ほどのインターヴァルを挟み、20時20分を少し過ぎた頃、LEAVES’ EYESのショウがスタート! 『THE LAST VIKING』(’20)からイントロSE「Death Of A King」が流れると、その場の空気はATROCITYから一変し、そのままアルバム通りに「Chain Of The Golden Horn」の勇壮なイントロが弾けるや、フロアは一気に「オ~オオ~オオ♪」という唱和に包まれた。凛としたエリナの佇まいは前回と変わらず。クラシカルな素養をまとう歌唱は情感豊かで、歴史ロマンを感じさせるストーリーテリングという点でも実に素晴らしい。


楽器隊は’19年から総替えとなっていたが、特に問題ナシ。ルクとフローリアンのギター・チームは、前者が“動”、後者は“静”とキャラ分けが明確で、時に後者も激しくヘドバンしながらギターを掻き鳴らすものの、大きなアクションを連発し、表情豊かに“顔で弾く”タイプでもある前者が、やはりより目立っている。


ベースのドミニクは、どっしり重厚な存在感が印象的。先のヨーロッパ・ツアーでは彼が不在で(HATEの活動を優先?)、元CRADLE OF FILTHのアショクが代役を務めていたので、もしや日本にも彼が…と思ったらそうではなかったという。

ドラムのシモンはスロヴェニア出身。白塗りメイクを取り去れば随分と雰囲気が違い、激しい疾走ビートを打ち鳴らしても、ATROCITYの時よりもしなやかさが感じられる。

セットリストは欧州ツアー時と全く同じ。コロナ禍を挟んでの久々の来日だからして、日本オンリーの選曲がせめて1曲ぐらいあれば…との思いは届かず。やはり、リヴ・クリスティーネ期の楽曲は最低限にとどまり、『NJORD』(’09)から「My Destiny」と『SYMPHONIES OF THE NIGHT』(’13)から「Hell To The Heavens」という大定番のみ。あ…いや、『KING OF KINGS』(’15)からの2曲「Edge Of Steel」&「Swords In Rock」も、今ではエリナ加入直後の再録ヴァージョンが馴染み深いものの、元々はリヴのレパートリーだったか。

来日直前にリリースされた最新EP『SONG OF DARKNESS』からは「Hall Of The Brave」と表題曲「Song Of Darkness」が披露され、フルレンスでは最新の『MYTHS OF FATE』(’24)からも4曲(「Hammer Of The Gods」「Who Wants To Live Forever」「Realm Of Dark Waves」「Forged By Fire」)プレイ。後者からの2曲でショウを締め括ったことから(アンコールなし)、もはや初期ナンバーに頼っていないことは言うに及ばず、いかに彼等が近作に自信を持っているのかも窺えた。

前回来日時、日本ヴァイキング協会の面々が甲冑姿でステージに華を添えた演出面も、今回は特に仕掛けナシ。ただ、『SIGN OF THE DRAGONHEAD』(’18)タイトル・チューンではアレックスのヴァイキング戦士姿が見られたし、「Hall Of The Brave」の前にアレックスが息子に「いま日本でライヴやってるところなんだけど」と電話をかけたり(どうやら不在でメッセージを録れていた模様)、お祭りノリで盛り上がれる「Swords In Rock」の前に振る舞い酒(ショット)を観客に配ったり…といった趣向はあるにはあった。

個人的には、『SONG OF DARKNESS』と『MYTHS OF FATE』でヴァイキング風味が薄れ、壮麗シンフォニック路線への回帰傾向が気になっていたが──今回、久し振りにエリナの歌う「My Destiny」を聴き、「Who Wants To Live Forever」の名曲っぷりに心を震わされたことで、このバンドの原点を改めて再認識。その上で、エリナの上手さ、激しく観客を煽る際もノーブルな芯の部分が顔を覗かせていたことにも、強く感じ入った次第だ。果たして、策士アレックスはどんな次なる一手を放ってくるのか。次回来日と共に、ニュー・アルバムを楽しみに待ちたい…! (奥村裕司)

[SET LIST:06/04/26@初台DOORS]
1.Death Of A King(SE) 2.Chain Of The Golden Horn 3.Hammer Of The Gods 4.Serpents And Dragons 5.Across The Sea 6.Edge Of Steel 7.Hall Of The Brave 8.Who Wants To Live Forever 9.Sign Of The Dragonhead 10.Song Of Darkness 11.My Destiny 12.Swords In Rock 13.Hell To The Heavens 14.Realm Of Dark Waves 15.Forged By Fire 16.Galeids Of The Væringjar(SE)
