Posted On 2025年9月13日

TWILIGHT FORCE ライヴ・レポート

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Report●Matsu(PHANTOM EXCALIVER)
Pix●Yuzi Okumura

 PHANTOM EXCALIVERのMatsuです!
 2025年9月12日、僕達は渋谷ストリーム・ホールでTWILIGHT FORCEのオープニング・アクトを務めさせてもらいました!


 我々、日本人が大好きなTWILIGHT FORCE!
 ドラゴン、聖剣、マジック──まさにエピック・メロディック・スピード・メタルの極致を体現する彼等が、新体制となり再び日本に降臨したのだ!!
 彼等とは、個人的にも沢山の思い出がある。
 ’23年6月の前回来日公演では、赤羽Reny Alphaにて初共演を果たし、同じ年の独“Wacken Open Air”では現地で杯を交わした仲だ。
 その時からメンバーの大幅な入れ替えがあり、今回現ラインナップで日本初上陸したTWILIGHT FORCE──PHANTOM EXCALIVERでしっかりオープニングを務めさせてもらったあと、オーストリアのDRAGONYを挟み──あの超絶技巧をどのように再現するのか…と大きな期待を抱きつつ、じっくりライヴを堪能させてもらった。

 結論から言ってしまうと、僕の期待を大きく上回る圧巻のパフォーマンスに圧倒されてしまった…!
 では、そんな彼等の物語(ライヴ)を冒頭から振り返っていこう…!!

1.Intro(SE)~Dawn Of The Dragonstar……オープニングは鉄板のこの1曲。イヤモニ周りの機材トラブルが若干あったようだが、そんなことを微塵も感じさせない素晴らしい演奏でオーディエンスを惹き込んでいく。特に新しいギター・チームの超絶技巧が光っていた。長身の森のエルフ:ギャリンと、ホビット族らしいブラムリー・アンダーホールだ。新体制における再現性に疑念を抱いていた人達も、ライヴが幕を開けた瞬間、全ての疑念は安心へと変わったハズだ。

2.Twilight Force……続いて、バンド名を冠した代表曲。ギターのキレ味と再現度はこちらも申し分なし。セッション・メンバーから昇格した女性シンガー、クリスタラは序盤、後方でバック・コーラスに徹し、まだ存在感を示しきれていない。演奏終了後、バンドの首魁であるブラックヴァルド(key)が、あのシブい声で初MCを披露。「東京の夜は暑い──友よ、みんなを凍て付く世界へ誘なおう…」と次の曲へ。

3.At The Heart Of Wintervale……現時点での最新作『AT THE HEART OF WINTERVALE』(’23)の表題曲。複雑な展開や、キー・チェンジを難なくこなすバンドの総合力が光る。特に、フロントを務めるアリオンの表現力は圧巻。明るさと壮大さが共存するサビは、まるで“某夢の王国版メロスピ”といった印象で、会場を幸福感で包んだ。この曲でようやくクリスタラも本領を発揮し、華を添える。

4.Dragon Born……軽快でポップな質感を持つナンバー。ドラゴンの子供達が踊り出すようなイメージで、TWILIGHT FORCEの楽曲の幅広さを体現。音響も安定し、ツイン・ギターのバランスが際立ち始める。

5.Thundersword……クリスタラが(オモチャの)剣を観客に配布するというユーモラスな演出に、フロアが大いに沸き立つ。ファニーさとシリアスな技巧が同居する──これぞTWILIGHT FORCEならではのステージだ。’19年作『DAWN OF THE DRAGONSTAR』収録のこの曲では、ギターの低音弦のうねりが特に印象的だった。

6.Flight Of The Sapphire Dragon……ここで名物演出。“ドラゴン”が飛来する。いや、風船のドラゴンが上層バルコニーから投げ落とされ、フロアを飛び交うと、観客のヴォルテージは最高潮に。ギャリンギターのスウィープ&タッピングは人間離れした精度で、リズム隊も鬼気迫るプレイを披露!

7.Twilight Horizon……ここでクリスタラがステージ前方へ。この日、初めてステージの中心に立った彼女は、圧倒的なハイ・トーンが最大の武器だ。当然、歌唱力も並外れている。彼女とは、TEMPERANCE来日時にも共演したが、その時にも魅せつけられたとてつもない実力は、TWILIGHT FORCEとも融合し、昇華していた。そして、ツイン・ギターがオーケストラのように織り成すセクションにも、驚愕せずにはいられなかった…!!

8.Queen Of Eternity……ここで意表を衝く演出が。クリスタラがデカい20面(!)の運命のサイコロを持って登場し、それを観客に投げてもらって、出た目で次の曲を決めるという。

ところが、まさかのサイコロ自体が歪んで凹んでしまうというハプニング! それでも賽は投げられ、出目は呪いの“6”。ブラックヴァルドは「1~10の目が出たら“Queen Of Eternity”を、11~20の目が出たらまだ日本でプレイしたことがない“Valley Of The Vale ”をやることになる」と言っていたので、6だと前者が演奏されることに。初披露曲にならず、ちょっと残念ではあったが…。
 この曲では、響くギターのメロディが完璧で、ヴォーカルとの絡みをするのは高いリスクが伴うのに、一音も外さず突き刺してくる! さらに、続くギター・ソロ・バトルでは、「指…どうなってんの!?」という人外レヴェルのフレーズ応酬!! これぞTWILIGHT FORCE!!!

9.Battle Of Arcane Might……この辺りで音響が完全に整い、ツイン・ヴォーカルがさらに本領を発揮! CD音源以上の迫力で高音も繊細なメロディも軽々歌い上げる姿に、「最後に勝つのはメロディだ」と痛感。ギター・ソロ・バトルも圧巻で、タッピングが特に光っていた。前メンバー時代よりさらに熱量が増していた…のでは!?

10.To The Stars……シンセが描き出す壮大な宇宙観に、観客はみな酔いしれる。この曲もクリスタラがメインで歌ったのだが、女性シンガーの起用は大成功。それにより楽曲の広がりが格段に増し、観客との掛け合いも自然に。新体制がもたらした“音楽性の拡張”を如実に感じさせた1曲だった。
 てか、どんな音作りしたらあんなギター・サウンドになるんだ? 僕の経験上、あのような繊細で圧倒的に速いメロディック超絶技巧フレーズは、ライヴだと絶対に埋もれてしまうハズなのだが…。そんなところからも、TWILIGHT FORCEのメンバーやライヴ制作チームのクオリティの高さが窺える。

11.Gates Of Glory……本編ラスト。アリオンとクリスタラの2人が力強く声を重ね、壮大なメロディが会場を包み込む。ここではテクニックよりも“歌心”を前面に押し出し、余韻を残すエンディングとなって、「まだまだ終わらせないぞ!」という観客の気持ちを大いに掻き立てていたのが印象であった!

12.Blade Of Immortal Steel……アンコール1曲目は、キーボードの美しい旋律で幕を開け、ブラックヴァルドのMCやナレーションとは異なる、繊細で表情豊かなメロディメーカーとしての一面を見せつける。ピアノの前奏から怒涛の激しい展開へと移行し、アジアン・テイストの旋律がどこか親近感を覚えさせるのも印象的だ。すると、永遠に続くかのような超絶ギターも次々と炸裂! 泣きのフレーズ、耳に心地よく刺さる“痒いところに手が届く”ような細やかなフレーズが交錯し、ドラマチックな物語が描かれる。ギター・ソロの盛り上がりには、象徴的にアリオンが刀を授与され──その時、思わず「自分達の聖剣を渡しておけば良かった…!」と後悔した…。
 さらに圧巻なのが、ギターとヴォーカルのユニゾン。息を呑む精密さで絡み合い、僕自身のこれまでの作曲観を覆すほどの表現力を示していた。全編10分に亘る壮大な楽曲は、観客を寸分の狂いもなく、最高のクライマックスへと導く…! まさにライヴのハイライトに相応しいエピック・チューンであった!!!

13.The Power Of The Ancient Force……ラストはファン待望の名曲。ツイン・ヴォーカルが完璧なハーモニーを奏で、観客の熱狂はさらなる最高潮へ。しかしながら、我々PHANTOM EXCALIVERの物販へ急ぎ向かわなければならず、最後までは堪能出来なかった……無念!!

 さて、全体を総括させてもらうと──今回の再来日公演は、メンバー・チェンジによって少なからず不安を抱えていたファンの懸念を、一瞬で吹き飛ばすようなステージとなった。ベースのザンドール含め、新顔達の技術力は超驚異的で、PHANTOM EXCALIVERではギタリストとしてもヴォーカリストとしても活躍させてもらっている身からすると、そのテクニックと再現性を目の当たりにした瞬間、自分が恥ずかしくなるほどの圧倒的ワールドクラスの実力を痛感させられた。
 ニュー・ギタリスト2名は既に人間を辞めている…とさえ言いたくなる。どうすればあそこまで速いフレーズを、一音も余すことなく伝え切り、ミドル・トーンの心地好い音と共に分厚い音で圧倒出来るのか…。自身の未熟さを痛感し、ワールドクラスを改めて体感させていただいた。
 さらに印象的だったのは、TWILIGHT FORCEの楽曲に宿る“メロディ”そのものだ。欧州的な壮大さを持ちながらも、日本の歌謡曲と通じる親和性やアジアン・テイストが、そこには確かにあると感じる。おそらく、多くの日本のファンも同じように共感しているのではないだろうか。
 加えて、リズム隊は単なる土台ではなく、“物語を支える柱”として機能し、サウンドに厚みを与えながら、フロント・メンバーのキャラクターを見事に際立たせていた。そして勿論、語り部ブラックヴァルドによる渋みのあるMCは、世界観に深みをもたらし、演出と楽曲をさらに洗練されたものへと押し上げていた。
 こうしたパフォーマンスを、彼等は日々、世界中で続けている――その事実自体が驚異的であり、尊敬せずにはいられない。観客にとっても、ギネス級の音数を誇るギターや、緻密に作り込まれたサウンドを全身で浴びられる体験は、まさに至福だったに違いない。僕としては、MCの最後に「PHANTOM EXCALIVER!」と叫んでくれた瞬間、嬉しいサプライズとなった。
 しかも彼等は、この圧巻のステージの翌日に、同じストリーム・ホールでもう1公演行ない、続いて名古屋、大阪公演も控えているというから驚きだ。プロモーター、EVPの尽力には、ただただ感謝しかない。2度目のTWILIGHT FORCEとの共演の機会を頂いたことに心から感謝し、演者である自分としては、このメロパワ文化を絶やさぬよう、リスナーの皆さんと共に支えていかなければならない…と強く感じた次第だ。
 最後に──百聞は一見にしかず。この最強のテクニックとファンタジーを浴びたいなら、是非とも現場に──明日(9/13)以降の公演に足を運んで欲しい。そこには、CDやサブスクでは決して味わえない“生きた物語”がきっとあるから…!!

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